事業計画

2022年度(令和4年度) 事業報告

 滋賀経済同友会は、2022年度(令和4年度)の活動テーマを「BEYOND 2030 ~未来対応力の向上とサステナブルな社会の実現を目指して~」と掲げ、「滋賀の目指すべき社会」の姿を構想し、その実現を図るために活動を展開してきた。SDGsの目標達成期限である2030年のさらにその先を見据え、長期的視野と複眼的思考で変化の激しい時代に備える必要があると判断した。

 近年の国際情勢は、グローバル経済や安全保障への懸念を強め、コロナ禍とデジタル化の急速な進展が私どもの働き方や暮らしに多大な変化をもたらした。その一方で、日本経済の低迷は長引き、2000年に2位だった日本の1人当たりの名目GDP(国内総生産)は2010年に18位、2021年は27位に落ち込んだ。人口減と少子化は一層進み、2022年の出生数は80万人を割り、比較可能な1899年以降で初めての事態となった。ただ、滋賀県は出生数の減少率が全国平均を下回り、東京一極集中の問題でも、首都圏と大都市を除けば数少ない転入超過県である。滋賀県の魅力度、暮らしの健全度を示す指標であり、今後の飛躍につながるポテンシャルを示していると考えている。

 そこで、「未来はどうなるのか?」ではなく、「この滋賀の未来をどうしたいのか」と主体的に考える問いを立て、5月の総会では、直木賞作家の今村翔吾氏、夏季懇談例会では独立研究者の山口周氏、秋季懇談例会では、株式会社ロゴスコーポレーションの柴田社長、忘年懇談例会では、NPO法人NELIS 代表理事のピーター氏にご講演をいただき、当会で初めて開催した夏季セミナーでは、滋賀県出身の若手経営者による「未来志向の企業経営」について議論を深めた。また、研究会活動では、3つの研究会を立ち上げ下記の通り提言・提案を発表することができた。

 まず、「滋賀の幸福をかなえる経済」研究会では、次世代の経済モデルを“幸福をかなえる経済”と名付け、身体的・精神的・社会的に良好な状態を示す「ウェルビーイング」について検討を進めた。個人だけでなく、周辺環境の保全や安心・安全の観点から地域や社会の「場」のウェルビーイングも必要であり、新たな枠組みの協働による地域経営を推進するために「10の視点と、共創のための『場』の創出」を提案した。「イノベーションを生むまちづくり」などの視点を挙げ、県内の各地域圏が相互に強みと弱みを補完するあり方が県全体のウェルビーイングを向上させると考えている。
 また、「滋賀の未来をどうしたいのか」研究会では、新たな雇用のあり方と人材育成の研究に取り組んだ。働く人をコストではなく、価値を生み出す源泉とする「人的資本」の考え方が重視されている。リスキリングという“学び足し”戦略を掲げ、働く場や学ぶ機会を提供し、従業員の待遇を向上できる企業に優秀な人材が集まり定着する。変化に強く学び続ける企業こそがイノベーションを創出し、持続的に発展できるとして議論を進めた。今年度は拙速に結論を出さず、「滋賀地域企業人材育成戦略」と「滋賀地域企業ネットワークづくり戦略」の2つの戦略を実践できるように、引き続き次年度も検討していく。
 そして、「情報文化首都『安土』構想」研究会では、戦国時代の覇者、織田信長がなぜ安土に築城したのかその背景を推測したうえで、県土の強固な地盤と豊富な水資源、自然災害の少なさと地理的条件などの優位性を挙げ、滋賀が持つ「安全」に関するポテンシャルを最大限活かすために、危機管理や情報に関する国の機関の一部移転や分散のための候補地に選ばれるように提言した。
 
 滋賀経済同友会は、「サステナビリティを成長の柱とし、『滋賀の明るい未来』を創るために尽力する」ことをパーパス(存在意義)と考え、これからも滋賀の持続可能な発展に貢献できる活動を継続していく。
今年度の研究会活動においては、これまでの提言の実現を図るとともに、次年度へつなげるための議論・研究も重ねてきた。変化にそなえる柔軟さ、変化を受け容れる寛容さ、そして常に学び考え続けることを私たちは実践している。
真摯な議論の集大成を活動報告として発表できたことは得難く、取りまとめていただいた副代表幹事をはじめ会員の皆さまに改めて感謝申し上げる。
 滋賀経済同友会ではこれまでの経験と実践を糧に、滋賀の持続可能な発展に貢献できる活動を継続していく。会員の皆さま、そして全ての関係者に今一度感謝申し上げるとともに、滋賀の未来のために引き続きお力添えを賜りたい。

 

以下、今年度の事業内容を報告する。
■会員数

  今年度は期初386名でスタートしたが、新入会8名、退会16名で期末は 378名となった。新型コロナウイルス感染症の影響もあり新入会が増加せず、目標としていた400名を下回る結果となった。

■例会及び研究会への参加人数

(1) 例会は、新型コロナウイルス感染症の影響はあったが、通常総会から知事を交えての春季懇談例会まで

             計6回開催した。

    通常総会以外はリアルとWEBのハイブリッド開催としたことより、 1回当たりの参加者平均は150名

           (内WEB 31名)となり、多くの参加を得た。

    懇親会においても新型コロナウイルス感染症の影響はあったが、対策を講じて全て開催した。

(2) 研究会への参加人数については、会員の参加意識の高まりから、延べ806名(内WEB 273名)の参加となった。

             各年度により研究会の設置数や開催頻度が異なるため単純比較はできないが、

              1回平均58名(内WEB 20名)と多くの参加を得た。

 

■主な活動内容

(1)活動報告のとりまとめ

   先述の通り、各研究会において議論・研究した内容を活動報告集としてとりまとめ、会員に発表すると共に、

            地域の各セクターの皆様にも我々の問題意識を共有してもらいたいとの狙いから、

            県庁記者クラブにおいてプレス発表も行った。

            また、政界・行政・大学等の主要関係先にも提言を送付し、HPにも掲載した。

(2)海外及び国内視察ミッション

   海外視察研修では、令和5年2月9日から2月17日にポルトガル(リスボン・コインブラ・ポルト)、

           スペイン(マドリード)において13名の参加によりサステナブル先進都市の視察を行った。

   国内視察研修(正副代表幹事合宿)では、令和4年4月7日から4月9日に北九州方面において12名の参加により

           次世代エネルギーやSDGsの取り組みを視察した。

   いずれも、本会活動に大いに参考となった。

(3)地域懇談会・広域交流会

    「彦根」「中部」「甲賀」「大津・湖西」の4地域で地域懇談会を開催した。

            また、「福井経済同友会」「関西地域6経済同友会代表者懇談会」

         「西日本経済同友会会員合同懇談会」をはじめ開催交流会に積極的に参加した。

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